遅延ポテンシャルに対する考察4

4.解に対する考察


$$\color{black}{\Large{ \begin{eqnarray} G(\boldsymbol{r},t)=\frac{1}{4\pi r} \delta(t\pm\frac{r}{c}) \end{eqnarray} \tag{1} }}$$


前回にて、上記を得た。これを用いて、解は以下のように求めらる。tについてのみ積分する。


$$\color{black}{\Large{ \begin{eqnarray} f(\boldsymbol{r},t)&=&\iint G(\boldsymbol{r}-\boldsymbol{r}’,t-t’)g(\boldsymbol{r}’,t’) d\boldsymbol{r}’dt’\\&=&\iint \frac{1}{4\pi |\boldsymbol{r}-\boldsymbol{r}’|} \delta(t-t’\pm\frac{|\boldsymbol{r}-\boldsymbol{r}’|}{c})g(\boldsymbol{r}’,t’) d\boldsymbol{r}’dt’\\ &=&\int \frac{1}{4\pi |\boldsymbol{r}-\boldsymbol{r}’|} g(\boldsymbol{r}’,t\pm \frac{|\boldsymbol{r}-\boldsymbol{r}’|}{c}) d\boldsymbol{r}’ \end{eqnarray} \tag{2} }}$$


しかし、このままではわかりずらいので、以下のような、先進時間と遅延時間を用いる。


$$\color{black}{\Large{ \begin{eqnarray} t ~- \frac{|\boldsymbol{r}-\boldsymbol{r}’|}{c}&=&t_r\\ t + \frac{|\boldsymbol{r}-\boldsymbol{r}’|}{c}&=&t_a \end{eqnarray} \tag{3} }}$$


実際の時間から、遅れているか(retarded)、進んでいるか(advanced)でこの名前がついている。したがって解は二つの遅延解rと先進解aを得る。


$$\color{black}{\Large{ \begin{eqnarray} f_r(\boldsymbol{r},t)&=&\int \frac{1}{4\pi |\boldsymbol{r}-\boldsymbol{r}’|} g(\boldsymbol{r}’,t_r) d\boldsymbol{r}’ \end{eqnarray} \tag{4} }}$$

$$\color{black}{\Large{ \begin{eqnarray} f_a(\boldsymbol{r},t)&=&\int \frac{1}{4\pi |\boldsymbol{r}-\boldsymbol{r}’|} g(\boldsymbol{r}’,t_a) d\boldsymbol{r}’ \end{eqnarray} \tag{5} }}$$


これにて、一般に求めることができた。もとの微分方程式は、


$$\color{black}{\Large{ \begin{eqnarray} (\nabla^2-\frac{1}{c^2} \frac{\partial^2}{\partial t^2})\phi(\boldsymbol{r},t) &=& \frac{\rho(\boldsymbol{r},t)}{\epsilon_0}\\ (\nabla^2-\frac{1}{c^2} \frac{\partial^2}{\partial t^2})\boldsymbol{A}(\boldsymbol{r},t) &=& \mu _0 \boldsymbol{i}(\boldsymbol{r},t) \end{eqnarray} \tag{6} }}$$

$$\color{black}{\Large{ \begin{eqnarray} □f(\boldsymbol{r},t)=g(\boldsymbol{r},t) \end{eqnarray} \tag{7} }}$$


であることと、gやfを任意として計算したこと。

光が光速を超えないことから、電磁波としての解は遅延解を採用すること。

これらを踏まえて解は以下のようになる。


$$\color{black}{\Large{ \begin{eqnarray} \phi(\boldsymbol{r},t)&=&\frac{1}{4\pi \epsilon_0}\int \frac{\rho(\boldsymbol{r}’,t_r)}{ |\boldsymbol{r}-\boldsymbol{r}’|} d\boldsymbol{r}’ \end{eqnarray} \tag{5} }}$$

$$\color{black}{\Large{ \begin{eqnarray} \boldsymbol{A}(\boldsymbol{r},t)&=&\frac{\mu _0}{4\pi}\int \frac{\boldsymbol{i}(\boldsymbol{r}’,t_r)}{|\boldsymbol{r}-\boldsymbol{r}’|} d\boldsymbol{r}’ \end{eqnarray} \tag{5} }}$$


無事に、電磁波が光の速度で伝わる様子が分かりやすい形になった。


しかし、先進解を捨ててしまうのにもったいなさを感じる。計算過程において、先進解、遅延解ともに、優劣がつくような過程が無かったように思う。

ここで、先進解が起きることもあると考えたいところだが、

マイケルソン・モーリーの実験 – Wikipedia

このような実験により、光速度不変が示されてしまっている。

調べている中でこんなものも見つけた。

自由空間において光の速度は一定でないことが、初めて証明される | WIRED.jp

光子の形状を変形させて、光を遅らせることに成功した実験である。これが正しい解釈かどうかは判断がつかないが”遅れる”ということで先進解に意味を持たせる実験ではなかった。

解を言葉にしていくと、、

電荷などの電磁波の源となるものが動き出すと、そこから光の速度でかかる時間をかけて、電磁波が伝搬していくのが遅延解である。このことは、とても理解がいく。光を発振させてから、電磁波が進んでいくには、光の速度でかかる時間分だけ遅れて進んでいく。一瞬では進めないということだろう。

同じ思考で先進解について考えると、電磁波が発振していくとそれに都合が合うように電磁波の源があとを追うように動くといったところだろうか、、なんだか、電磁誘導に近いものを感じる。

電磁波の源について考えるべきではなく。先に動くものについて考えるべきなのではなかろうか、電磁波が先進するのであれば、電磁波がきっかけで電磁波の源である、電荷や電流が動くような、、、

ポテンシャルが電荷や電流によってどのように記述されるかについて、注目していたが、電荷や電流がポテンシャルに対して、どのように記述されるかをしらべてみるのも面白そうである。